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ad:tech tokyo 2024に初出展! マーケティング投資を最適化する「MEDIA CANVAS」とは
AI 2024.11.29

ad:tech tokyo 2024に初出展! マーケティング投資を最適化する「MEDIA CANVAS」とは

西川コミュニケーションズのグループ会社「soda」では、2024年10月16日(水)~18日(金)に開催された「ad:tech tokyo 2024」にて、MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)の新サービス「MEDIA CANVAS(メディア キャンバス)」を出展しました。

急速な社会変化に伴い、消費者ニーズとコミュニケーションの多様化が進んでいます。さらにはテクノロジーの発達により、マスメディアやWeb、紙媒体など広告メディアもますます複雑化し、どの広告がどんなKPIに対してどれだけ貢献しているのかの把握は難しくなる一方。
加えて、気温変化や物価上昇など外部要因の変化に応じた広告効果検証も必要とされるようになってきました。

そこで注目が集まっているのがMMMです。外的要因を取り除いたマーケティング効果を、オンライン・オフライン問わずメディアを横断して可視化することで、マーケティング投資の検証、最適な予算配分の意思決定をサポートするというもの。

今回は「ad:tech tokyo 2024」での出展の様子をお伝えするとともに、sodaのChief Sales Officer大澤洋一郎にインタビュー。「MEDIA CANVAS」の概要や強み、MMMが注目される背景について話を聞きました。


ad:tech tokyo 2024とは

「ad:tech tokyo」は、広告・マーケティング業界を俯瞰できる、伝統ある国際カンファレンス。ビジネスにおいてAIやデータの活用が進む中、マーケティングとテクノロジーの最先端の情報が集まる場となっています。

会場は六本木の東京ミッドタウン & ザ・リッツ・カールトン。三日間の開催で約一万人の来場者が集まりました。

東京ミッドタウンの外観。背の高いビルと、ビルの前の広場の様子 受付の様子。たくさんの人が受付用タブレットに自分のスマホをかざしている

ミッドタウンの通路の様子。ad:tech tokyoの看板がたくさん並んでいる

イベントの中心は、名だたる企業のマーケターたちが登壇する講演やカンファレンス、ワークショップの数々。

カンファレンスの画像。外国人スピーカーが登壇してしゃべっている カンファレンス会場の画像。発表を聞いている来場者の後ろ姿

企業ブースでは、テクノロジーを活用したマーケティング支援ツールなどが多数展示されました。

会場内の様子。企業ブースが並ぶ中をたくさんの人が歩いている 展示会の様子。大きなモニターのある企業ブース

会場内の様子。企業ブースが並ぶ中をたくさんの人が歩いている 会場内の様子。狭い通路に小さな企業ブースが並んでおり、その前をたくさんの人が歩いている

sodaはこの企業ブースに初出展。ブースにお立ち寄りいただいた方々にMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)の新サービス「MEDIA CANVAS(メディア キャンバス)」をご紹介しました。

sodaのブースの画像。sodaスタッフ3人が並んで立っている



マーケティング投資の最適化ソリューション「MEDIA CANVAS」

―――では、ここからは「MEDIA CANVAS」についてお伺いします。まずはサービスの概要について教えてください。
大澤: MEDIA CANVASは、MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)と呼ばれるマーケティング投資を最適化するためのソリューションです。Web広告やテレビCM、DMやチラシといった複数のメディアやキャンペーンなどの広告データと、天候やカレンダー、株価や製品に関わるトレンド推移といった外部要因データを組み合わせて、AIで統合的にモデル化。メディアをまたいだマーケティング効果の把握や、最適な投資配分の算出に加え、Webアプリ上で企業が自由に将来の成果シミュレーションをしていただくことも可能です。

MMMに注目が集まる背景

―――昨今、MMMの注目が高まっているとのことですが、広告予算策定における課題背景には何があるのでしょう?
大澤: 広告メディアがますます多様化している現在、メディアのどこにウェイトを寄せるべきなのかはマーケティング担当者が抱える大きな課題となっています。

しかし、どのメディアがどのくらいの効果を上げているのかは把握が難しかった。デジタル施策を増やそうとは思うものの、じゃあ予算を2倍にするのか。いや、1.5倍でいいのか。定量的な根拠がないために、他メディアとのバランスをどう取っていけばいいのかわからないという企業も多いのではないでしょうか。


―――広告の効果検証自体はされてきましたが、それだけでは不十分ということでしょうか。
大澤: 確かにメディア個別での検証はそれぞれの指標で行われてきました。テレビCMなら視聴率、デジタル施策ならクリック率、DMならレスポンス件数などですね。しかし、複数のメディアを並べて共通の指標による横断的な分析ができないという課題がありました。さらに最終的な売り上げには広告以外のさまざまな外的要因が絡んでくるわけで、それらを踏まえたうえで広告の純粋な効果を把握することは難しかったんです。

広告予算の策定の現場でよくあるパターンは前年踏襲ですが、これはさかのぼっていけば前々年踏襲、前々々年踏襲......となっていくわけで、結局のところ定量的な根拠も無ければ、外部環境の変化にも追いつけられないわけです。それでは効果的なマーケティングは望めません。結果、社内では手戻りが多々発生し、効果検証レポートにも膨大な時間を取られてしまうのです。

―――そこで、AIによる分析で広告の効果を可視化するMMMが注目されているというわけですね。
大澤: そうなんです。MMMなら、共通の指標に対する各メディアの効果や貢献度を統合的に可視化したうえで、定量的な根拠をもとにしたマーケティング投資の検証・意思決定をサポートできます。

データドリブンなマーケティングを推進している企業では、すでにきちんとした根拠を持って予算を出していかなければという考えを持ち始めています。今回のad:tech tokyo 2024でも、ブースにお立ち寄りいただいた企業様はすでにMMMについてもかなり情報収集されていました。どのサービスがいいのかを検討し始めているような段階の方が多く、MMMの注目度が日に日に高まっていることを実感しましたね。

ブースで来場者にMEDIA CANVASの説明をしている大澤さんの画像

MEDIA CANVASの概要

●MEDIA CANVASの3つの機能

①マーケティング効果の把握
KPI(売り上げや客数など)への広告の貢献度や、メディアごとの費用対効果を推定して可視化します。
また、メディア以外の効果(ベースライン)とそれらを除いた純粋なメディア貢献度を把握できます。

②メディア予算の最適配分・効果予測
決まった合計予算に対して最適な予算配分のシミュレーションが可能です。また、最適化配分後に予測されるKPI の合計も可視化し、予算額の意思決定をサポートします。

③KPI予測シミュレーション
計画した時系列の予算配分に基づいて将来のKPIをシミュレーション可能。いくつかの計画を比較することで、KPIを最大化するための意思決定をサポートします。


導入までは大きく以下の3ステップにわけられます。各段階で綿密なコンサルテーションを行い、並走しながらより精度の高いモデルの構築をお手伝いします。

●導入までのステップ

01.因果探索※コンサルテーション:MMM で捉えるべきKPI と変数を整理
メディアや外的要因などの要素がどのような因果構造(どれが原因で何が起こっているのか)になっているかを分析して可視化。目的に合ったKPIとそれに対して必要なデータは何かを明らかにします。
※因果探索:データの因果関係(原因とそれによって生じる結果との関係)を推定する統計的な手法。詳細は記事の後半でご説明します。

02.MMM コンサルテーション:モデルの構築・最適化シミュレーション
01の結果を踏まえて専用に構築したMMMモデルで解析し、先に挙げた3つの機能である①マーケティング効果の把握、②メディア予算の最適配分・効果予測、③KPI予測シミュレーションを算出します。

03.Web アプリ「MEDIA CANVAS」:自らアプリ上でモデル作成~PDCA の実行
02で構築したモデルをベースに、新たなデータを追加してアプリ上でモデルを作成。導入企業が自由にマーケティング活動の分析やシミュレーションができ、自社でPDCAを繰り返していただけます。

「MEDIA CANVAS」の詳細はsoda公式サイトの紹介ページをご覧ください
MMM | soda | データ利活用・分析・AI開発


―――どのような企業におすすめなどはありますか?
大澤: 複数メディアにある程度の規模で広告を投下している企業であれば、業種は問いません。中でも消費財メーカーや小売業、保険業の方などに興味を持っていただくことが多いですね。BtoB企業でも、ソフトウェアサービスを扱っている企業様などはテレビやタクシーに広告を投下されることが増えているため、向いているのではないでしょうか。

ただ、分析の精度を上げていくために学習データが必要ですので、出稿しているメディアが一つ二つとか、たまにスポットで広告を出すくらいとなると、データ量が足りず予測が出せないという問題がありまして......。適切なデータの量についてはご相談いただければと思います。


sodaブースの様子。来場者にスタッフがMEDIA CANVASの説明をしている

MEDIA CANVASの強み

―――MEDIA CANVASの特長を教えてください。
大澤: 最大の特長といえば、因果探索の活用とWebアプリの提供ですね。先ほどのステップでいうところの「01.因果探索コンサルテーション:MMM で捉えるべきKPI と変数を整理」と「03.Web アプリ:自らアプリ上でモデル作成~PDCA の実行」の部分です。

目的に合ったKPIや必要なデータを探り出すための「因果探索」

大澤: 因果探索という統計的な手法を用いて、売り上げや客数、広告施策、天候、株価といったさまざまなデータの因果関係(原因とそれによって生じる結果との関係)を推定。データ同士の関係性をしっかりと理解・整理したうえで、目的に合ったKPIとそれに対して必要なデータを精査し、モデル設計をしていきます。

因果探索
複数データの関係性を分析する際によく使われる「相関関係」は、データ間の強さは分析できるものの方向(因果)まではわからず、どちらが原因でその事象が起こっているかまでは判断できません。
「因果探索」なら何が変化すれば結果(成果)がどう変化するのかまで、因果の構造・向きとその強さを定量的に可視化し、データの理解が深まります。

因果探索を説明した図。客数や売り上げ、広告の実施データ、天候、株価といった因子が因果の向きと強さのネットワークでつながっている図を示し、因果構造を可視化することを説明している

―――KPIや使用するデータは分析ごとに違うんですか。毎回同じというわけではないんですね。
大澤: MMMの分析では目的にあったKPIは何か、それに対して必要なデータは何か、これらを精査した上でモデルを設計していくことが非常に重要です。ここを安易に設定してしまったばかりに、出てきた結果も微妙なものになってしまったというケースも多いんですよ。

例えば、これは私たちのクライアント様からお聞きした実例です。ECサイトの広告の予算最適化を考えるにあたり、他社のMMMを導入してみたのだそうです。その分析でのKPIには最終売り上げを推奨されたそうですが、外部要因の影響が非常に高く、それに伴い売り上げも左右されるので、広告をどう配分するかについては、明確な分析結果を提供されなかったらしく......。


―――せっかく分析したのに、それは残念。MMMの実力を活かしきれないんですね。
大澤: ですから、MEDIA CANVASでは綿密に設定しています。先ほどのクライアント様も、私たちがサポートした際は捉えるべきKPIの設定を見直し、外部要因の影響が強くても広告宣伝を投下した方がいいタイミングなども可視化できました。

また、最終的な売り上げには購入までのリードタイムの長い商品をはじめ、接客スキルなどデータ化できない部分の影響が大きい場合もありますよね。それを考慮せず広告が効いた、効いてないだとか考えても十分な分析とは言えません。
目的に合ったKPIは何なのか。最終売り上げなのか、それとも来店者数やサイトユーザー数なのか。そして、そのKPIに対して必要なデータは何なのか。因果探索を利用してデータの理解を深めることで、より精度の高い分析を行えることがMEDIA CANVASの強みです。

導入企業が自由にPDCAを回せるWebアプリ

大澤: Webアプリによる高速PDCAもMEDIA CANVASの大きな特長です。構築したモデルをダッシュボードで可視化できるのはもちろん、ユーザーの企業様自身で新たなモデルを構築し、貢献度の検証や最適化、シミュレーションを実行できるんです。あらかじめ複数パターンのシミュレーションをWebアプリ上に作っておくこともでき、状況の変化に応じて導入企業自身で操作して迅速な意思決定にもご活用いただけます。


―――MMMにおいてユーザー企業様自身で操作できるWebアプリを導入しているサービスは珍しいのでしょうか。
大澤: あまり聞きませんね。一般的なMMMでは、モデルを構築して分析結果が出た後に別のシミュレーションも見たいとなったら、別途料金を支払ってサービス提供会社のほうでモデルを構築し直すことがほとんどだと思います。

しかし、状況が変わるたびに新たなモデル構築を依頼して、分析結果が出てくるのを待って......というキャッチボールを続けていたらどうしても時間がかかります。


―――そのスピード感では、ますます早くなる社会の変化に対応するのは難しくなっていきそうですね。
大澤: そうなんですよ。やはり導入企業自身が自由なタイミングでシミュレーションできるというのは大きいと思います。高速でPDCAを回すことで、より効果的なマーケティング施策を行っていただけます。

ブースで来場者にMEDIA CANVASを説明する大澤さんの様子

マーケティング投資の最適化を通し、よりよい情報発信をサポート

―――では、最後に。MEDIA CANVASの目指すところについて教えてください。
大澤: よりよいマーケティングの価値を提供するには、単一メディアではなく、横断的に何をどれだけ配分していくのかが重要です。正しく効果検証し、根拠を持った最適な予算配分をすることで、クライアントのマーケティング施策をサポートしていくのがMEDIA CANVASです。

これは余談ですが、私の母のもとに以前は届いていたDMが届かなくなったらしいんです。企業としてはデジタルへの転換でDM施策を切り捨てたのでしょうけれど、それで母がほしがっていた情報は届かなくなってしまったんです。


―――デジタル化やSDGsへの意識の高まりなどもあって、DMなどの紙メディアは削減対象メディアに見なされがちですが、印刷が効果的な部分はまだまだありますよね。
大澤: MMMはデジタル施策やテレビCMへの予算配分にフォーカスが当たりがちですが、エリアやターゲットによって、まだまだチラシやDMなどにも効果があると考えている企業は多いのではないでしょうか。

メディアの予算配分がきちんと設計されていれば、情報を必要としている人へより届けやすくなります。それは生活者にとっても、情報を発信する広告主にとっても幸せなことです。その裏の立役者となるのが私たちだと考えると、これはとてもやりがいのある仕事ですね。


―――それは西川コミュニケーションズの企業メッセージである「伝えることで、社会をよりよく。」にも通じるお話ですね。
大澤: そうなんです。戦略的な意思決定をサポートすることで情報発信を支え、人と社会をよりよいものにしていくお手伝いができればと思っています。

企業メッセージについて詳しくはこちらの記事をご覧ください
「伝えることで、社会をよりよく」 企業メッセージに込めた西川コミュニケーションズの挑戦

sodaは西川コミュニケーションズからスピンオフしてできた会社であり、その西川コミュニケーションズは印刷を祖業として幅広くコミュニケーションのメディア全体に関わってきた会社です。オンライン/オフラインどちらもないがしろにしたくない企業様には特にお勧めできると自負しています。マーケティングの意思決定に課題を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。

「MEDIA CANVAS」の詳細はsoda公式サイトの紹介ページをご覧ください
MMM | soda | データ利活用・分析・AI開発

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大澤洋一郎

株式会社soda
Chief Sales Officer

当社に籍を移した2000年代半ば以降、リテール領域において、販促物の企画提案やマーケティング立案を手掛ける。 2010年代にはリテールAI研究会にてAI・データ利活用による店頭実証実験を主管。 現在はグループ会社の株式会社sodaにてマーケティング領域を中心としたAIソリューションのChief Sales Officerに就き、大手食品メーカーにおけるLLMビジネス活用検証プロジェクトの運営進行管理などを担う。